着色粒基準の根拠について
寺田学衆議院議員が2007年3月1日の予算委員会で質問し、
農林水産省 岡島正明総合食料局長が答弁しています。
これによると、岡島局長は
・着色粒の基準は、①精米歩留まりの低下 ②除去コストなどを勘案して設定
・具体的な試算では「2等の下限0.3%の着色粒が混入している玄米では一俵当たり約500円の増嵩、3等の下限0.7%の着色粒が混入している玄米は一俵当たり1200円の増嵩」
・消費者あるいは流通業者からのクレームの原因は着色粒の混入
と答えています。
しかし「増嵩」が2等で500円、3等で1200円などということはゼッタイにあり得ません。
なぜなら、0.1%と0.3%の差は0.2%ですから、玄米価格10000円当たり20円でしかありません。着色粒を色彩選別機を用いて除去する際に、巻き添えで除去されてしまう整粒のロスを加えても、除去で生ずるロスの差は、1等と2等で多くても30~40円程度の差。1等0.1%と3等0.7%の差は0.6%ですから、多くても90~100円程度です。
消費者からのクレームについても、大手生協の広報によれば、精米の3大クレームは、①虫が入っている ②美味しくない ③白い米が混じっている だそうです。
また、黒い米は精米工場で取り除くのでクレームはないそうです。
この国会答弁について、当会および消費者団体は2009年6月16日、当時の農林水産省食糧部長 奥原正明氏と面談し、答弁が誤りであると指摘しました。
奥原部長は、コスト差の再調査をすると約束しましたが(日本消費経済新聞 参照)、その2ヵ月後、政権交代が起き、再調査の約束は未だに果たされないままです。
再調査しない理由について、農水省消費流通課(当時)は「課内で検討して調査しないことになった」と話し、国民との約束を一方的に破棄しています。
農水省が着色粒のコストの再調査をしないのは、調査すればコスト差が小さいことが明らかになり、基準の根拠がなくなるためだろうと思われます。
奥原正明氏は現在、農林水産省事務次官です。